男性の育休取得が話題みたいですが、イクメンとか呼称するのやめればいい。

男性の育休取得が話題みたいですが、イクメンとか呼称するのやめればいい。

2022/4/6

どうも、えんどうです。

どうも、えんどう @ryosuke_endo です。
ここ数年、明らかに男性の育児休業取得に関する話題が増えた。Google Trendsで「男性 育児休暇」と打つと以下の通り5年前から徐々に右肩に上がっている様子が見てとれる。
厚生労働省の「令和2年度雇用均等基本調査」によると、2020年度の男性の育児休業取得率が12.65%と、過去最高になったそうだ。厚生労働省は2025年までに30%の取得を目指しているそうだが、この手の話に対する意見として何点か主張したい。
まず、保護養育責任者の一端を担っている男性側が少し積極的に子どもとの生活に関わっている様子が見られたからといって”イクメン”などと評価し”男性側のみ”を褒め称える状態は「異常」だということに気づく人が増えるべきだ。
上記している通り、保護養育の責任を有している成人である以上は男性だろうが女性だろうが関係なく、子どもの生命を守ることと成長を支援することに責任がある。仮に男性側に向けて「イクメン」などと称するのであれば女性側にも「イクママ」と称さなければ対等ではない。
そう、対等ではないのだ。
イクメンなどと称する言説をするような輩はすべからく「子どもは女性が共に生活をした方がいい」という昭和・平成期に全盛だった子育て観から脱却できていない人間であり、そんな人間が社会の大半を占める状態だからこそ育児休暇が云々といったことが話題になるのだ。
そんな前提思考を踏まえたうえで、男性の育児休暇取得について書いていく。

▶︎ 会社としては微妙だろうが採用プロモーションとして使える

まず、育児休暇の取得について述べる際に参考にしたいのはスウェーデンだろう。スウェーデンでは、子が8歳になるまでに両親合わせて480日間の育休を取れるが、そのうちの90日間は父親に割り当てられている(女性も同じ日数の割り当てあり)。
これはクオータ制と称される制度で、導入当初の日数は30日だったが、2002年に60日に、16年からは90日に延長された。また、父親が取得しない場合には該当部分の給付金を受け取る権利を失うことになる。つまり、90日は男性が取らないと損をするのだ。
他にも、スウェーデンでは育休のほかに「父親の産休」とも言える「父親休暇」が10日間あるなど、出産直後から育児は夫婦2人でするものという意識が徹底されており、共同育児が前提の社会だといえる。
結果、何が発生しているのかといえば男女ともに育児休暇の取得率が8割(2004年時点)で日本のそれとは比較にならない。ただ、スウェーデンも1974年に世界で初めて父親を含めた育児休業制度を導入したものの1995年まで男性の取得率は10%に満たなかったことを考えると、日本でも制度設計次第では同水準まで引き上げることが可能なのではないか。
少なくとも、現時点で日本の企業が大手を奮って男性の育児休業制度取得を前面に出していけば、優秀な人材が獲得できる確率が高くなる。
母親が育児休業を取得することを疎ましい気持ちになるような経営者もいるだろうが、そのような認識を抱いたままでは女性も雇用できなくなる。また、育児休業取得後に不利な状態で復帰させてしまおうものなら労働基準監督署から大いなる制裁を喰らうことになるため、せっかく利用を勧めなければならないのであれば先乗りして前面に打ち出すことで採用広報として機能する。
これからの人材獲得のコスト高を考えると、いかにして他が打ち出していない「状態」を出していくのかどうかで人材獲得における後手を踏むリスクを軽減できることになるだろう。

▷ キャリアが止まることを気にするなら転職すればいい

企業側の視点からの結論は上記した通りだが、次は労働者側の視点で考えていこう。
企業側でみれば、辞めてもらった方がうれしいと思う気持ちがあることは正直なところだろう。だから労働者視点で見た際には「申し訳ない」とか「代替者が立てられなければ...」などといった感情をいただくことは人として真っ当な姿勢や態度である。
その姿勢や態度を否定するつもりもないし、むしろ、そうやって他者を慮れる人と当事者を慮れる人とが相入れる就労場所があるのなら、また、そうやって互いに思いやれるのなら継続して行ったもらいたいと思う。
ただ、どう考えても企業側からしたら耳の痛い話でもあるのは事実だろう。表立ってはいえないだろうが「中途半端に籍を残すぐらいなら...」といまの時勢であれば存分に批判を受けるような心情を抱いている雇用主もいるはずだ。
期間が期間なだけに雇用主側が気にすることは仕方がないことだといえるが、労働者側からしたらそれを考える必要はまったくない。仮に育児休暇を機に不当・不利な扱いを受けるような事態になったのであれば上記したように労働基準監督署へ駆け込めばいい。
そこまで行かなかったとしても「期間が空いてしまうことでキャリアに影響が...」と考えてしまう場合も気にする必要はまったくない。
気にするのであれば育児休業明けに転職すればいい。
履歴書や職務経歴書といった自らが作成する書類上、育児休業を取得した人間は「在籍していた事実」はあるものの、休業期間であった旨を記載することはない。育児休業期間を書かなければならない規則や法律は存在しないため、転職先が把握することはないのだ。
把握できるのだとしたら雇用がはじまった後ぐらいなもので、その時にはどうでもいいと思っているはずだ。つまり、書類上はキャリアが止まっている事実は存在しないことになるため、結局は取得側の心情次第だ

▷ 嫉妬を喰らうのが嫌なら転職すればいい

2020年、日本人女性の平均年齢は50歳に到達した。(国勢調査|総務省
つまり、日本人女性の大半は妊娠だとか出産が既に終わって久しいか、関係のないことだと考えている人たちだというのが数値上の事実である。
既に終えている人たちの価値観として「いいわね、いまは。育児休暇っていえば休めるんだから」みたいな価値観がそこかしこで聞かれる。
実際、ぼくの友人はそのような誹りを受けて退職するって選択肢を選んでおり、少子化に向けて爆走する日本をさらに加速させるような人がいることに憤慨したくなる心持ちだが、こういった話は決して稀有なものではない
また、別の切り口として「わたしだってやってきたんだから」と謎の「過去に経験あり」マウントを取るような輩もおり、そういった輩の面倒なところは「自分も過去に辛い思いをしてきたんだから、お前も同じ思いをしたとしてもがんばれよ」っていう何の慰みにもならない突き放しを実践するところにある。
ただ、地方都市でそのようにマウントを取るような人は、夫側の実家に入っており祖父母が子どもの面倒を見れる状況にあったりして、2022年現在の育児休暇を取得する核家族化した人たちとは環境的に大いに差があることを認識していない。
残念だが、そうやって誹りをはたらき他人の心根を腐らせてしまうような人は一定の割合で存在する。所属する職場にそのようなお局的な存在がいるのだとしたら職場ガチャに失敗したのだと諦める他にないのだが、仮に無事に育児休暇を取得して復帰して戻ってきたらその人は在籍しているのだから、諦める他になくなってしまう。
そんな形で日本人女性の多数派から苦役を強いられるような状況が嫌なのであれば転職をしよう。育児休暇明けに転職をすればキャリアに穴が空いた状態にはならない。そうやった若くて有能だけど同僚や上司に恵まれなかったのであれば、子どもとの時間にまで影響を与えかねない。
それらを我慢してまで在籍するような会社などないのだから、とっとと別の会社っていう電車に飛びのってしまうことだ。

▷ 2022年現在、喧伝することは有能な人が来てくれる比率が高くなる

いま、男性の育児休業取得について明らかに議論が加熱どころか真っ赤っかになるほどに燃え上がっている状態だ。
これまで散々な書き方をしてきたが、ぼく個人の身勝手な考えというよりも精度と数字を合わせて考えてみるとこうなるよねって話なだけで他意はない。
ただ、企業側は男性の育児休暇を積極的に推奨している態度や実績を存分に喧伝することで有能な人が入ってきてくれる可能性が高くなる。なぜなら、求職者側は「いい環境」「ホワイトな条件」に対して存分に憧れと羨望の眼差しを持っていることはいつの時代も変わりはしないからだ。
有能な人とは、生産性の高い人材のことであり、そういった人ほどダラダラと仕事をするのではなく仕事と家庭とのバランスをきっちりと取ろうと必死に仕事をしてくれる。つまり時間配分や業務への優先順位づけなどが適切にこなせる人である確率が高い。
現状、まだ他の企業も足踏みをしている中で男性の育児休業を積極的に推奨していたり、既に実績があるような企業は懸命に喧伝した方が有能な従業員を確保できる可能性が高まることはいうまでもない。
なぜなら、パートナーが背中を押してくれるからである。奥さんから背中を押されてしまえば、大抵の場合は就労することになる。ここからいえることは、企業側は就労者本人というよりも奥さんをどうやって味方につけるのか、その奥さんと共に結託できるかどうかにかかっていると考えられる。
というわけで、日本ではイクメンとか呼称するのをやめるべきである。
ではでは。
えんどう

▶︎ おまけ

▷ 紹介したいnote

きっと、取得をできる状況にあったのにも関わらず取得しなかった男性は後悔することになるだろう。なぜなら、子どもの時間は戻ってはこないのである。仕事の時間を優先したい気持ちは理解できるが、家族との時間を優先しなかったことのつけは10年後20年後に大きくのしかかってくる。

我が家は3名の子どもたちと共に生活をしているのだが、すべて奥さんが育児休業を取得してくれたことによって成立したのは事実である。まだ時代的にもぼくの認識や就労状況的にも取得することすら頭になかったのは存分に反省事項である。

ぼくは第一子が生まれた時に奥さんが出産で死にかけた。出血量が2Lを超えたあたりで覚悟したのだが、無事に命を取り留めたものの、そこから1週間ほど付き添っていたものの大したことはできなかった。まず、大したことはできないことを多くの男性は認識しながら育児休業に入るべきだとも思う。

▷ 紹介したい関連書籍

ブラック企業はなくなることが日本のためになると真剣に考えているが、何を持ってブラックなのかを定量的に示す必要がある。その点において、本書は非常に参考になるといえるため、興味があれば存分に読んでもらいたい。あなたの会社はブラックかどうかを判断するのだ。


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