枕にかえて
最近、こうやって書くたびに4,500文字から5,000文字とか書いてしまっているので、少し反省している。別にダラダラとした文章を書きたい訳ではない。前提を揃えることを意識したり、それから自分なりの主張を交えるようにすると、ついつい長くなってしまう。
『サピエンス全史』を書いたYuval Noah Harari(ユヴァク・ノア・ハラリ)がThe Guardian(英国のガーディアン紙)へ寄稿した『Why Vladimir Putin has already lost this war』(邦題:「プーチンは負けた――ウラジーミル・プーチンがすでにこの戦争に敗れた理由」** 翻訳: 柴田祐之)の文章は端的で的確ながらも短い。
今回は僕も上記したハラリの文章のような明快で素晴らしい内容とはいかないが、短くすることを意識して書くことにしよう。
さて、知っている人もいるだろうが、知らない人も大勢いることだろう。いま、日本では生活習慣病と診断され、医師から『運動しなよ』って言われれば厚生労働省が指定する運動施設に通うことで利用料を医療費控除できるのだ。
わかるだろうか。運動をしてムキムキになろうとするだけで節税対策になる、とてもすばらしいとても素晴らしい政策なのである。
これを読んだ人たちの一人や二人が生活習慣病であることを前提に、ムキムキで健康的な体を目指す人たちであることを祈念しつつ、この制度について紹介していきたい。
▶︎ 医師から『運動しろ』と言われたら『運動療法処方箋』を貰え
ここが最も重要で結論なのだが、仮にあなたが生活習慣病だったとしよう。いや、仮にだ。何もそうであるとは断定していない。あくまでも仮の話だ。ったく。
仮に生活習慣病であるあなたは、医師から「運動しろ」といわれるだろう。それと同時にあらゆる脅しをかけられているかもしれない。
酒もタバコもやめろ。血管が詰まって死ぬぞ、とか。頭に酸素がいかなくなって脳卒中になるぞ、とか。それはもう「人でなしのような扱い」を受けることだろう。それはもう仕方がないのだ。
あなたのせいで、その医師は正直なところどうでもいいと思っているあなたの健康について語らねばならないのだから。実は仕事なんてせずに昼間から酒をかっ喰らってやりたいと考えているのにも関わらず、次々と訪れる贅沢病の人たちの相手をしなければならないのだ。
その医師の立場にもなってほしい。嫌ではないか。自分の健康に関することであれば、もしくは自分の大切に考えている家族の健康問題ならまだしも、まったく関係のない他人の健康問題である。
興味を持てというほうが酷ではないか。だから医師という仕事は尊いのだ。もちろん、とても頼りにならない上に相談もできないような医師も中には存在するが、それはそれだ。
医師も人間である以上は感情がある。感情があるということは性格があるのだから、自分との相性が合う人間もいれば合わない人間もいるだろう。仕方のないことだと諦めるのだ。
さて、何の話だったか。
ああ、そうだ。**医師に運動しろといわれたら『運動療法処方箋』を出してもらえるのかどうかを確認するといい。**大抵の場合は出してくれるはずだ。処方箋を出すことも立派な保険点数の対象であって、彼らの仕事の範疇なのだ。
遠慮することはない。痛むのはあなたの財布だけだ。そもそもあなたが病気になどならなければ財布からお金がなくなるような事態も避けたのだから、自業自得だろう。観念することだ。
▷ 処方箋を出してもらえると厚生労働省の指定施設の利用料が控除対象に
運動療法処方箋を出してもらえると、下記に記す厚生労働省の指定を受けた健康増進施設の利用料が年末調整や確定申告における医療費控除の対象となる。
根拠となる制度 健康増進施設認定制度
中には「面倒だ」と考えてしまう人もいるだろうし、施設の利用するために移動しなければならないことを嫌がる人や、そもそも医師の元へ向かう必要があるために通院費はかかるじゃないかとやりたくない理由をたくさん述べる人はいるだろう。
しかし、国としても高齢者が多くなってきて社会保険に対する費用がバカにならなくなってきている以上、未然に防ぐもしくは低減できる手段があれば懸命に取り組む必要があるのは仕方のない帰結でしかない。
そもそも生活習慣病みたいな**”明らかに自分の生活習慣によって引き起こされている病”を罹患している時点で保険対象から外されたとしても文句は言えないはず**なのだから、甘んじて享受している以上は文句を言うべきではない。
少なくとも、在野に根を生やした元スポーツトレーナーとしては運動習慣がない人間が取り組めば成果などすぐに出るものだと知っているため、取り組まない手はない。
それこそ体重を5kg減らすのだって本人の習慣が改善されれば確実に達成できる。
しかも、今回の制度を利用することで節税になるのだ。自分の健康を守るために運動をするだけで実質的にお金がもらえるのと一緒なのだから、全力で取り組むべきものである。
▷ いまは健康で問題のない人は自宅で運動を
仮に上記の制度を利用することでムキムキになれたとしたら、あまりにも優遇されていると見られかねない。だって、税金でムキムキになれる人を養成されることを考えてみてほしい。ちょっとおかしな制度である。
とはいえ健康寿命が長くなること自体は賛成であるため、この制度を利用できる人は存分に利用したほうがいい。他人のお金で健康で、肉体的にも賞賛されるような成果を手に入れる機会が訪れているのだから、この機会を逃す手はない。
では、いま生活習慣病でも何でもない人はどうしたらいいか。
最近はいろいろとスポーツジムが乱立しだしていたこともあり、多くの人たちがスポーツジムに行っては自分の筋肉ラインを見せつけるようなどうでもいい画像をInstagramをはじめとしたソーシャルメディアに投稿している。
しかしよく考えてみてほしい。
どこかにいかなければできない運動など、そう多くはない。
ましてや、ジムや体育館に通ったところで誰かに指導してもらうでもなく、淡々とこなすだけなのであれば自宅でやればいいではないか。
トレッドミルでランニングを行うことは外でランニングすればいい。
エアロバイクを漕ぐのであれば、自転車に乗ればいい。
筋トレをしたいのであれば、自宅で腹筋と腕立てでもやっていればいいのだ。
そうすることによって無料のトレーニング効果を獲得できる。わかるだろうか、無料である。
運動習慣がなければ筋トレは1回からでいいし、走るのも1分からでもいい。とにかく始めるのだ。
▷ 累積効果こそが運動の本質的な効果だ
運動習慣がないからこそ体重が増えるし、体脂肪率が高い。
そもそも根本的に食べなければ人は太るはずがない。
利用するエネルギー量よりも摂取するエネルギー量が多いから太るのであって、何も食事を摂取できない人間が太ることなど原理的にあり得ない。
だから、**太りたくない人間は食べなければいい。**どうしても食べたいのであれば、スティックシュガーをジャリジャリ食べて血糖値を上げたところにこんにゃくでも食べていればいい。
無論、そんな食生活を繰り返していたら糖尿病になる可能性は高まるだろう。しかし、どうしても喫緊で痩せなければならないのなら、あーだこーだと文句を言ってる場合ではない。とにかく痩せたいのであれば、糖質と油を摂取することから逃げるべきなのだ。
ある程度の節制というか、自制心をもって生活を行える人間になってから運動をはじめる。そうでなければ運動後に美味しい食事を懸命に摂取するため、むしろ太ってしまう可能性がある。
**スポーツジムに行けばわかるが、明らかに痩せていない人は大勢いる。**なぜなら運動後、存分に食べているからだ。それを自制できるようになってから運動をはじめることで、着実だが明確な一報を踏み出すことにつながる。
運動の本質的な効果は累積効果である。
運動習慣がない人はいきなり腹筋を300回やろうと思ってもできないが、それを30日にわけたらどうか。1日10回するだけで300回達成できる。結局、運動はそうやって継続的に筋肉をはじめとした身体細胞に向けて行う刺激策でしかない。
ある程度の刺激に慣れてくると苦痛ではなくなるから、そこで1日の回数を15回とか20回にあげていくことで、90日もすればちょっとは締まったカラダに見えてくる。それを習慣化すればいいだけの話なのだが、それが難しい。
しかし、トイレにはいくだろう。風呂には入るだろう。歯も磨くだろう。筋トレをすればいいではないか。10回からでいい。健康になるのだ。心身ともに健康になるためには、運動をしている自分を褒めてあげることからはじめたらいい。
10回も腹筋した自分、えらい!
そう言ってあげることで次の日もがんばれるはずだ。
これを読んだみなさんが読み終えた直後から腹筋を始めていることを祈念する。
ではでは。
▶︎ おまけ
▷ 紹介したいnote
やたらと寿命を伸ばしたいかといわれたら、それほど伸ばしたいとは思えない。健康で自分の意志を持った状態であらゆることがこなせる状態であれば長生きも悪いものではないだろうが、そうでないのだとしたら地獄のような日々なのかもしれない。それが怖いのだ。
ほら、testosteroneさんだって書いてるではないか。中の動画に出てくる人は、明らかにガチ勢なカラダをしているが、気にすることはない。むしろ、生活習慣病の人はここまで行ける可能性を「控除」という武器を携えながらできるのだから幸運だといえる。がんばれ。
...その通りだ。楽しくはない。僕も自宅でできることしかしないし、それ以上のことをしたところでお金がかかることが嫌だからムキムキには興味がない。だけど、健康を保持するためであることと、弛んだ情けない腹をする自分を許せない。だから日々100回単位で回数を重ねている。
▷ 本noteに関連する紹介したい書籍
医学的な根拠に基づいた痩せ方を紹介してくれる本だ。別に痩せなくてもいい。そもそもdietとは痩せることがメインなのではない。健康や美容を目的に痩せる手段を選ぶことである。それを勘違いしている人にはうってつけの本であるため全力で読んだほうがいい。
▷ 著者のTwitterアカウント
僕の主な生息SNSはTwitterで、日々、意識ひくい系の投稿を繰り返している。気になる人はぜひ以下から覗いてみて欲しい。何ならフォローしてくれると毎日書いているnoteの更新情報をお届けする。